口臭が改善しているのに、本人は「治っていない!」
病院で治療して、口臭の値は客観的データでは改善しているにも関わらず、本人は「まだ臭う!治っていない」と主張されるケースがあるそうです。(日本口臭学会 第9回学術大会 抄録集 P25 一般口演「口臭症治療の前後におけるvisual analogue scale for anxietyの変動について」)
通常は客観的に口臭が改善すれば、自分でも「口臭が改善した!」と感じることができるのに、少数ながら「むしろ悪化した」と感じる人が存在します。
一体、それはなぜでしょうか?
自分の口臭に対する、感覚の鋭敏化
「口臭の鋭敏化」という現象が最近注目されています。2018年7月に長野県にて日本口臭学会に参加してきましたが、その際に、こんな発表がありました。「口臭を治療して、客観的なデータでは改善されているが、本人は口臭が改善されていない!と主張する方が少なからず存在する。これは口臭の鋭敏化と推察される」という要旨でした。この原因として考えられるのは、こちらです。
- 口臭がいつも出ていると、本人の嗅覚は慣れてしまう
(口臭の馴化、なれる事)- 口臭が改善すると、たまに出る口臭にむしろ敏感になってしまう
(口臭の鋭敏化)
私たちの日常生活でもこれはよくあります。食べ物でも、最初は臭いと思った臭いも、最初だけで、だんだんと慣れてきます。人間の嗅覚は「慣れ」という機能があるからです。口臭も、ずーーーと臭いを発していれば、自分の臭いに慣れてしまって鈍感になり、むしろ改善した時の方が臭いに敏感になってしまうという事です。
医師や家族に「口臭は改善している」と言われる場合には、それを信じて神経質になりすぎないようにすると良いかもしれません。せっかく改善しているのに、効果がない!と感じてしまってやめてしまうともったいないですね。口臭の改善には、あきらめず、あせらず、という気持ちのバランスも大切です。