口臭が臭い原因となるガスの種類
種類一覧
これらのガスは、口腔内の細菌や食べ物の分解、消化不良、病気などによって発生することがあります。
- 硫化水素 (H2S)
- メチルメルカプタン (CH3SH)
- ジメチルサルファイド[(CH3)2S]
- アンモニア (NH3)
- インドール (C8H7N)
- スカトール (C9H9N)
- アセトアルデヒド (C2H4O)
- アセトン (C3H6O)
- システイン
- ホルムアルデヒド(CH2O)
臭いの違い
硫化水素 (H2S)の臭い
硫化水素 (H2S)は、卵やゴム、腐ったキャベツなどの腐敗した物の臭いに似ています。また、下水や沼地などの湿った場所でも発生するため、腐敗臭や腐った卵臭に似た臭いがします。強い臭いになると、人体に有害な物質としても知られています。
メチルメルカプタン (CH3SH)の臭い
メチルメルカプタン (CH3SH)は、腐敗した玉ねぎやキャベツ、ガーリックなどのニオイがあります。また、天然ガスの一種である天然ガスの成分でもあります。非常に強い臭いを持ち、人間の嗅覚の限界値よりも低い濃度でも感じることができるため、非常に嫌な臭いとして知られています。
ジメチルサルファイド[(CH3)2S]
非常に揮発性が高く、微量でも強烈な臭いがする物質です。この物質は、腐敗した食品や動物の死骸などから放出されることがあります。また、口臭の原因物質の一つとされ、口腔内で細菌がタンパク質を分解する際に発生することがあります。ジメチルサルファイドの臭いは、腐敗臭や腐った卵臭に似ており、非常に不快な臭いとされています。
アンモニア (NH3) の臭い
アンモニアは、強い刺激臭があります。一般的には、化学品の匂いや、獣臭、あるいは漂白剤のような臭いがすることがあります。また、高濃度のアンモニアは、目や鼻、喉を刺激し、呼吸器系に悪影響を与えるため、非常に危険な化学物質です。口臭になる場合には、内臓の不調で発生しやすくなるガスです。
インドール (C8H7N) の臭い
インドールは、独特の匂いがあります。一般的には、動物の排泄物や腐敗物などの悪臭と関連付けられます。また、タバコの煙や、花の香りなどにも含まれることがあります。強い匂いがするため、高濃度のインドールを長時間吸い込むと、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。血流で全身をめぐり、肺から呼気として排出されるときにこのインドールの臭いがすることがあり、ウンチ・便のような口臭と言われます。
スカトール (C9H9N) の臭い
スカトールは、動物の排泄物や腐敗物などの悪臭と関連付けられる有機化合物で、独特の強い匂いがあります。具体的には、動物の糞や尿、腐敗した肉や魚などの匂いに含まれます。また、タバコの煙や、コーヒーや紅茶などの葉物の香りにも含まれることがあります。高濃度のスカトールを長時間吸い込むと、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。舌の汚れと関連すると言われ、舌苔が多いとスカトールによる口臭の原因にもなります。
アセトアルデヒド (C2H4O)の臭い
アセトアルデヒドは、シャープで刺激的な匂いがある有機化合物で、酸っぱいリンゴや果物、または熟したバナナのような香りを持ちます。また、一部の酒類にも含まれており、酒の匂いにも影響を与えることがあります。高濃度のアセトアルデヒドを長時間吸い込むと、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。
アセトン (C3H6O)の臭い
アセトンは、甘くてフルーティーな匂いを持つ有機溶剤です。一般的には、爪を除光液で拭く際の匂いとしても知られています。また、化粧品、接着剤、塗料、洗剤、そして人工爪の接着剤など、多くの製品に含まれています。高濃度のアセトンの蒸気を長時間吸い込むと、頭痛や吐き気を引き起こすことがあります。
ホルムアルデヒド(CH2O)
ホルムアルデヒドの臭いは、強い、くすぐるような刺激的な臭いです。果実のような香りも混ざっていることがあります。
口臭ガスがでる原因
口腔内の菌が増殖
口腔内には常に数多くの細菌が存在しており、これらの菌は食べカスや歯垢、プラークなどの栄養源となるものを分解して生息します。その際に、口臭の原因となるガスが発生することがあります。
例えば、歯垢中に存在する歯周病菌は、タンパク質や糖分を分解して硫化水素やメチルメルカプタンといった悪臭を発するガスを生成することがあります。また、口腔内の乳酸菌は、糖分を発酵させて酢酸や乳酸、アルコールなどを生成することがあり、これらの物質も口臭の原因となることがあります。
さらに、口腔内には通常、口臭を防ぐ働きをする唾液が存在していますが、口腔乾燥症やストレスなどにより唾液の分泌が減少すると、菌の増殖が促進され、口臭が強くなることがあります。
歯周病などの口腔内の炎症
歯周病や歯肉炎などの口腔内の炎症には、口臭の原因となる細菌が関与しています。歯垢や歯石の蓄積により、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の間に細菌が繁殖し、炎症を引き起こします。この炎症が進行すると、細菌の数が増え、炎症部位から揮発性有機化合物(VOC)が発生します。これらのVOCは、口臭の原因となる異臭成分の一つである硫化水素やメチルメルカプタンなどを含んでいます。また、炎症部位から出血することがあり、これが口臭の原因となることもあります。さらに、炎症部位は口腔内で感染症の病巣となり、細菌の繁殖が加速されます。これらの細菌は、食べカスやタンパク質を分解することで、口臭の原因となるVOCを生成することがあります。
口腔乾燥症
口腔乾燥症は、唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥する状態を指します。唾液は口腔内のバランスを保つために重要な役割を担っており、食べかすを除去したり、口腔内の細菌の増殖を抑えたりする働きがあります。唾液が不足すると、口腔内のバランスが崩れ、細菌が増殖することがあります。この細菌が食べかすやタンパク質などを分解すると、口臭の原因となる揮発性有機化合物が発生することがあります。また、口腔乾燥症によって唾液の流れが悪くなり、口腔内の細菌や食べかすが残りやすくなることも口臭の原因となります。さらに、口腔乾燥症には口内のpH値が上昇するという影響もあり、この状態は口臭の原因になる細菌の増殖を促進することが知られています。
食物の消化不良
食物の消化不良が原因で口臭が発生する理由は、胃腸内での食物の分解が不十分な場合に、腸内細菌が食物を分解し、揮発性有機化合物を発生させるからです。これらの化合物は、口から呼気にかけて放出され、口臭を引き起こします。例えば、たんぱく質の分解によりアミノ酸が産生される際に、揮発性有機化合物であるアンモニアや硫化水素が発生することがあります。また、脂肪が分解されるときには、揮発性有機化合物である酢酸やプロピオン酸が発生することがあります。これらの化合物が口臭の原因となります。
飲酒や喫煙などの生活習慣による口臭
飲酒や喫煙などの生活習慣が口臭を引き起こす理由として、アルコールやタバコの煙が口腔内の活性酸素を増加させることが考えられます。活性酸素は口腔内の細菌や他の汚れを分解するために必要ですが、過剰な活性酸素は口腔内の細菌を活性化させ、有害な物質を作り出します。これらの物質には、口臭を引き起こす化合物が含まれています。また、アルコールやタバコの煙は口腔内の水分を減少させることにもなり、口腔内の細菌を乾燥させる原因となります。
キツい匂いの食べ物を食べたこと
口腔内の細菌は常に有害な物質を生成していますが、キツい匂いの食べ物は口腔内の細菌の活動をより活発にするため、より多くの有害な物質を生成させる可能性があります。また、キツい匂いの食べ物は口腔内の水分を減少させるため、口腔内の細菌を乾燥させることにもなります。
消化器系の疾患
消化器系の疾患において消化液が正常な分泌量を維持できなくなる可能性があります。消化液は口腔内の細菌を分解するために不可欠なものですが、消化液が不十分になると、口腔内の細菌が不安定になり、有害な物質を大量に生成します。これらの物質には、口臭を引き起こす化合物が含まれています。
食べカスや歯垢が残っている
食べカスや歯垢が口腔内の細菌を活性化させる可能性があります。口腔内の細菌は常に有害な物質を生成していますが、食べカスや歯垢は細菌を活性化させ、より多くの有害な物質を生成させる可能性があります。また、食べカスや歯垢は口腔内の水分を減少させるため、口腔内の細菌を乾燥させることにもなります。
デンタルプラーク(歯垢)
歯垢が口腔内の細菌の活動を活発にし、有害な物質を大量に生成する可能性があります。歯垢は細菌が活性化させるための環境を提供し、口腔内のpH値を上昇させます。これにより、口腔内の細菌が活性化され、有害な物質を大量に作り出します。また、歯垢は食物を口腔内に残してしまうため、食物が口腔内の細菌を活性化させる原因となります。
糖尿病や腎臓病などの疾患
血中に含まれるコレステロールやトリグリセリドなどの脂質の濃度を低下させることが考えられます。脂質は口腔内の細菌が有害物質を分解するために不可欠なものですが、血中の脂質濃度が低下すると、口腔内の細菌が有害物質を大量に生成します。これらの物質には、口臭を引き起こす化合物が含まれています。