現在市場では自分で自分の口臭を測定できる「口臭チェッカー」が各メーカーから販売されています。自身の口臭が気になる方、また職業柄人と接する機会の多い方などで、すでにこの口臭チェッカーをご利用の方も多くいらっしゃるでしょう。
ただ口臭チェッカーで高い数値がでたからといって必ずしも「口臭が強い」というわけなく、あまりその数値ばかりにとらわれすぎるのもよくありません。
また口臭チェッカーは「ニオイ」があるかないかを判別するだけで、口臭の原因や改善策を見極めることはできないのでその点も注意しましょう。
今回は市販の口臭チェッカーとはどのようなものなのか、また使用する上での注意点などについてまとめていきたいと思います。
自分で手軽に口臭を測定できる口臭チェッカー
近年は家電量販店の美容コーナーやネット通販などで、市販の口臭チェッカーを購入することができます。デザインもバラエティに富み、女性でもオシャレに携帯できるものも多く販売されています。
自分で自分の口臭を嗅ぐことは難しい
自分の身近な人の口臭が強く感じる時、「なぜ本人はこのニオイに気づかないのか?」と疑問を抱くこともあるでしょう。しかし残念ながら人は他人のニオイは敏感になれても、自身のニオイを感じることはできません。
その理由はずばり、鼻が自分のニオイに慣れてしまっているから。他人の家のニオイは感じるのに、自分の家のニオイがまったくわからないのもそのためです。
自身に口臭があるのかないのかを判別する方法として最も有効なのは、自分以外の誰かに実際にニオイを嗅いでもらうことでしょう。とはいえ、そんなことを人にお願いするのは勇気のいることですし、簡単にできることではありません。
口臭にニオイがあるかないかを判定する口臭チェッカー
では自分の吐く息にニオイがあるのかどうかを判定するためにどうすればよいのか。そこで手軽に口臭を測る方法として、市販の口臭チェッカーを利用する方法が1つ挙げられます。
口臭チェッカーは機器に息を吹きかけると、そこに含まれているニオイ成分を数値化して口臭の強さを判定してくれます。最近は人目に触れずにこっそり判定することができるコンパクトな口臭チェッカーに人気が高まっているようです。
市販の口臭チェッカーは「良いニオイ」と「悪いニオイ」を嗅ぎわけられない!?
他人に知られることなく自分の口臭を測定できる口臭チェッカーですが、市販品は簡易的なものなので決して万能とはいえません。
あまりその数値ばかりに気をとられていると、思わぬ落とし穴にはまってしまう危険があるので注意しましょう。
口臭チェッカーにとっては「歯磨き剤の香り」もニオイの元
実は市販の口臭チェッカーは、息に含まれるあらゆるニオイ成分を数値化してしまいます。例えば香料の強い歯磨き剤やニオイの強い食べ物であっても、それを「口臭」としてとらえてしまう場合があるわけです。
しかし食べ物や歯磨き剤などのニオイは時間の経過ともに消失します。一方で口臭において深刻な「揮発性ガス」は、根本的な原因を取り除かない限り口臭を改善することはできません。
このように口臭には「特に問題のない口臭」と「問題のある口臭」があるのですが、口臭チェッカーはそのどちらかまでを判定することはできないのです。
高額な医療用口臭判定器でも判別は不安定なことがある
歯科で口臭を専門にしているクリニックでは、1台が数十万もする医療用の口臭ガス判定器を導入しています。このような機器は実際に「問題のある口臭」に含まれる揮発性ガスの濃度を分析することが可能です。
しかしこのような高価な機器であっても、精密な判定をおこなうにはいまだ不安定な要素があります。そのため専門医もあくまで1つの目安と考え、他の検査結果なとと合わせて総合的に口臭の判別をおこなっています。
いわんや市販品であればなおのこと、数値にバラつきも多く確実性には欠けています。そのため結果をそのまま真に受けてしまうのは、口臭の本質を見失わせる危険があるので注意が必要です。
それでも口臭チェッカーを使いたい人は使用方法に注意する
歯科医の立場としては、市販の口臭チェッカーの結果で右往左往してしまったり、不安を募らせたりするのであれば使用はおすすめしません。
ただそれでもどうしても口臭チェッカーが必要であるならば、以下の点に十分に注意して使用するようにしてください。
測定するタイミングに気をつける
先にもお話ししたように、市販の口臭チェッカーはあらゆるニオイを数値してしまいます。したがって口臭チェッカーを使用する1時間前の飲食や歯磨きは控えましょう。
また口臭が普段あまりない人であっても、1日を通してニオイのリズムがあります。例えば起床時や空腹時などはどんな人でも口臭が一時的に強くなります。このような点もよく理解し、1回の測定結果だけを気にしすぎないようにしてください。
数値ばかりに気を取られず、その「原因」についてもしっかり考えること
口臭が気になる人の中には、1日に何度も何度も口臭チェッカーで測定する方もいらっしゃいます。ただ口臭チェッカーはあくまでもニオイの有無を判定するだけで、口臭を改善するには至りません。
口臭がある、またはあるのではないかと不安な方は歯科などの専門科を受診し、口臭の原因を一度探ってみることが大切です。ニオイがあることばかりにとらわれず、まずはその原因と改善に取り組むようにしましょう。
あくまで「1つの目安」であることを忘れないこと
何度もお話ししていますが、口臭チェッカーの数値はあくまで目安に過ぎず、またその結果も曖昧なものです。そのことを踏まえた上で使用されるのであれば問題はありませんが、そうでない場合は不安をかきたてるばかりで精神衛生上よくありません。
不安やストレスはかえって口臭を増悪させることもあるので、使用にあたっては慎重に考えていきましょう。
まとめ
普段から口臭の気になる方の中には、「口臭チェッカーはもう手放せない!」という方も多くいらっしゃることでしょう。
ただ市販の口臭チェッカーも決して万能ではないので、その結果に一喜一憂することなくあくまで目安の1つとしてとらえることを忘れないようにしてくださいね。
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執筆の歯科医師
歯科医師として約10年働いてきた経験を元に、歯科の専門情報を皆さまにわかりやすくお届けします。