歯科医が解説!その口臭、もしかしたら口呼吸が原因かも?
- 2018/8/31
- 歯科医師による記事

皆さんは普段、呼吸を口でしていますか?それとも鼻でしていますか?
「どちらでも問題ないのでは?」思われるでしょうが、実は正しい呼吸は鼻でおこなうもので、口には呼吸に適した機能が備わっていません。
そのため口で呼吸をおこなう「口呼吸」は口臭をはじめとする様々なトラブルの原因となります。
今回はこの「口呼吸」に焦点をあて、口呼吸の原因やセルフチェック法などをご紹介していきたいと思います。
目次
口呼吸によっておこるトラブル
でははじめに、口呼吸をすることで起こりやすいトラブルについて詳しくみていきましょう。
口臭
口臭を強くする大きな要因は口の中の乾燥。口呼吸を頻繁におこなうと、水分が蒸発して口の中が渇きやすくなります。その渇きによって口の中には多くの雑菌が繁殖し、いつもより口臭を強めてしまうのです。
また乾燥によって口の中の温度が高くなると、ニオイの元となる揮発性ガスがより多く発生しやくなります。
虫歯や歯周病
唾液には口の中を潤す「湿潤作用」、食べかすや細菌などを洗い流す「自浄作用」の他に、細菌に対する「抗菌作用」も兼ね備えています。
しかし口呼吸によってこの唾液が減少(乾燥)してしまうと、虫歯や歯周病菌が増殖し、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
風邪やインフルエンザなどの感染症
鼻の中には外からの異物や細菌、ウィルスなどを取り除くフィルターが備えられています。鼻から吸った空気はこのフィルターで浄化されてから肺へ送られます。
しかし口にはこのようなフィルターが存在せず、吸い込んだ空気をそのまま肺へと送り込んでしまうのです。その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
口呼吸になる原因と対策
口呼吸を改善するには、口呼吸になる原因を探ることが大切です。ではどのようなことが原因で口呼吸をしてしまうのか、またその対策法など以下に詳しくみていきましょう。
鼻がつまっている
口呼吸になる原因で最も多いのが、慢性鼻炎や花粉症などによる「鼻づまり」です。鼻で呼吸をしたくても、鼻がつまっていてはどうすることもできませんね。
鼻づまりによる口呼吸は、やはりその原因となる鼻症状をきちんと治すことが大切です。耳鼻科で適切な治療を受け、常に鼻の通りが良くなるよう努めましょう。
口の周りの筋肉が弱い
無意識に「ポカン」と口を開けてしまう方は、口を閉じる筋肉が弱い可能性があります。普段から口を閉じることが当たり前という方にはあまり実感がないと思いますが、口を閉じるのにはその周りの筋肉にそれなりの筋力が必要なのです。
口周りの筋力の低下によって生じる口呼吸は、その筋肉を鍛えることである程度改善が見込めます。口周りの筋肉トレーニングとしては、
- 口を閉じた状態でガム(シュガーレス)を咬む
- 「あいうべ」体操:「あ」「い」「う」と発音しながら大きく口を動かし、最後の「ベー」で舌を下に突き出す
などがおすすめです。
舌の位置
口呼吸の意外な原因の1つは、普段何もしていない時の舌の位置です。舌は会話や食事以外の時に、舌の先が上前歯の裏側あたりにひっついている状態が正しい位置となります。試しに舌をこの正しいポジションにおいてから口で呼吸をしてみると、呼吸がしづらくなることが実感できるでしょう。
口呼吸をしている方の中には、舌が下顎の中にすっぽり埋まったままの状態の方も多くみられます。もし無意識に口呼吸になってしまうのであれば、一度ご自分の舌の位置を確認してみてください。
歯並び
口呼吸は歯並びが原因でおこることもあります。次のような歯並びの方は、おのずと口呼吸になりやすい傾向にあるため注意しましょう。
- 出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ):上の前歯が前方へ突き出している
- 受け口(下顎前突:かがくぜんとつ):下の顎が前に突き出している
- 開咬(かいこう):奥歯を咬んだ時に、上下の前歯が咬み合わない
上記にあるような歯並びは、唇を閉じたくても閉じられず、結果として口呼吸となってしまいます。このように歯並びが原因で生じてしまう口呼吸は、矯正治療で歯並びを改善しないと、口呼吸を治すのは難しいでしょう。
あなたは大丈夫?口呼吸のセルフチェック
自分が普段どんな風に呼吸をしているのか、常に意識している人は少ないと思います。そこで口呼吸のセルフチェックをご紹介しますので、以下の項目に当てはまるものはないか確認してみてください。
もし複数個当てはまれば口呼吸をおこなっている可能性が高いため、先に挙げた原因の改善に努めるか、もしくは歯科・耳鼻咽喉科など専門科の受診をお勧めします。
口呼吸のセルフチェック
- 一年を通して唇が乾燥している
- 口の中がよく渇く
- 強い口臭がある
- 歯を磨いているのに虫歯や歯周病になりやすい
- よく口内炎ができる
- 朝起きると喉が痛い
- いびきをよくかく
- 風邪を引きやすい
- 常に鼻がつまっている
- 歯並びが悪い
まとめ
口臭には様々な原因がありますが、口呼吸も口臭が強くなる要因の1つとなります。また口呼吸は口臭以外にも、虫歯や歯周病のリスクを高くしたり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったりするほか、近年はアトピーとの関連も指摘されています。
口呼吸は幼少期から対処しておけば早期に改善することができます。しかし子どもの頃に放置してしまった結果、意識せずに口呼吸をしている成人の方も多く、そのようなケースでは改善するのに多少時間がかかってしまうでしょう。
「口呼吸をしてるかも」と自覚のある方は、できるだけ早めに歯科や耳鼻科などで相談することをお勧めします。